飛行場の安全と住民の生活の安心のために
  発  行

飛行場問題を考える市民の会事務局

 0424-85-6389

  松下 亘男

このブラウザではこの画像を表示できない可能性があります。 このブラウザではこの画像を表示できない可能性があります。 2010年

夏号

協定違反、続々!

            当会世話人、市や都に厳しく申し入れ

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 調布飛行場で、東京都と地元3市との間で結ばれた、協定・覚書等の約束事に抵触する疑いのある、飛行等の行為が、ネット上に掲載されていることが、当会の調査で発覚した。当会では、これらに対して、昨年末から今年の初めにかけて、調布市や東京都と会合を持ち、抗議をするとともに、実態の解明や改善を申し入れた。(裏面へ) 

   お詫び

 前回のニュースの発行から、今回のものまで、半年以上の経過がたちました。長期にわたって、ニュースを発行できなかったことは、あくまでも、当会の事情によるものであり、まことに申し訳ありませんでした。今後は、調布飛行場の実態を、広く 
 
 

伝達していくという責務を、まっとうできるよう、最大限の努力をしてまいりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

 なお、本号でも記してありますように、飛行場の監視活動に関しましては、しっかりと続けております。 
 

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【前回までの要約】 

 調布飛行場に計器飛行を導入しようという計画があるが、それをやらないというのは、都営空港化の際の重要な約束事であった。計器飛行では悪天候でも飛ぶようになり、騒音・危険が激増するからである。ところが最近、「計器飛行は離島便に限定されるから、たいした変化はない」という説が流されている。しかし、それは、決して事実ではない。昨年の猪瀬発言でも、新規路線に言及がある。むしろ、計器飛行が新規路線を呼び込む可能性がある。さらに、本当に離島便に限定されたとした場合にも、問題は、就航率の上昇に加えて、飛行ダイヤの増加、そして何よりも、飛行コースの設定による騒音の集中化で、生活環境に与える影響は計り知れないものとなる。 

   本当に離島路線に

       限定された場合(3)

 騒音問題を考える上で根幹となる、飛行コースの問題であるが、そもそも、飛行場存続に対して、調布市、三鷹市、府中市が、「周辺住民に対する騒音を最小限にとどめるための飛行方式(飛行ルートも含む。)を定め、運航させること。」と条件をつけ、東京都が、「最大限の努力をして行く。」と約束したにも関わらず、なぜ、飛行コースは定めず、飛行の分散方式ということだけが決まっていったのであろうか。

 平成4年に、調布飛行場が都営化された当時、この件に関する当会の当初の要求は、飛行場は住宅密集地のど真ん中にあり、迷惑がかからない飛行コースなどあり得ないわけであるから、ともかく、特定地域に騒音が集中しないよう、「飛行コースを複数設定して、被害の分散を徹底してほしい」ということであった。要するに、端的に言えば、迷惑をゼロにすることは不可能であるから、「負担を広く薄くするように」ということであった。

 しかし、飛行場管理事務所の、第2代所長の阿部氏の最終的な回答は、飛行コースは定めずに、分散方式をやっていくということであった。根幹である、飛行コースの問題で、「コースを定める」という約束であったにも関わらず、なぜ「定めない」ということになっていったのか、そして、それを、当会が、好ましくないとしながらも、なぜ事実上、黙認していったのか。

 東京都とは、特定の地域に、極端な負担がかかるのは、可能な限り避けるべきだという認識では一致できた。しかし、飛行コースの設定ということになると、阿部所長に言わせれば、飛行機によって、性能が異なるので、現実的には、それは不可能とのことであった。別の言い方をすれば、飛行機によって、曲がれる角度が違うわけだから、すべての飛行機に対して、ある一定の角度で曲がるコースを強制することは、事故につながる恐れがあるとのことであった。

 当会の当時の判断としては、最も避けなければならないことは、すべての飛行機が直進することであった。そうなれば、滑走路の延長戦上に、騒音が集中し、その生活環境は、完全に破壊されるからであった。そういう事情もあって、「飛行コースを定めない」こと自体は、「受入れ条件」違反であり、決して好ましいことではないと認識しながらも、東京都が、間違いなく「分散方式」を採り、騒音の拡散を図ると約束したことから、そういう形で行くことを、黙認することになったわけである。

 問題は、計器飛行を導入するには、飛行コースの設定が不可欠だということである。そして、その根幹に関わる内容が、全く明らかにされていないというのが、実態である。万一、飛行コースが複数設定されずに、騒音の集中化を招けば、その地域は、それが仮に、離島便に限定されたとしても、大変なことになるのである。(続く) 

協定違反、続々!(表面から続く) 
 

(表面上部より)

   体験飛行の呼びかけ

 まずは、Oアビエーションなる飛行学校の、D氏。飛行学校のホームページに、自分の航空ライセンス獲得までの経過を、得意げに載せたまでは、まあ仕方ないとしても、最後に、「一緒に空を楽しみませんか? 体験飛行してみたい方、どうぞご連絡をください。私は調布飛行場で飛んでいます! ご希望の方はE-MAILでご連絡をくださいをお待ちしています!」などと呼びかけたのは、変な日本語なのはともかく、とんだ協定違反であった。

 そもそも、体験飛行なるものは、調布飛行場の正式空港化の趣旨にそぐわない異物である。なぜならば、飛行場廃止の方針を転換する際に、東京都は、住民説明会等で、「不要不急の飛行はやらない」と、何度も明言した。地元三市が、飛行場の存続を了承したのは、そういう経過もあってのことであった。

 確かに、一方で、ここ数年、飛行場まつりに於いて、体験飛行が行われてきたという実態がある。しかし、これも、「まつり」だからということで、体験飛行が、自動的に認められてきたという話では、決してない。あくまでも、内容を確認しながら、地元市が、調布飛行場対策協議会という、市民を含めての組織の意見も参考にしながら、1年ごとに認可をしてきたに過ぎないのである。

 D氏は、O飛行学校を出たあと、調布の飛行クラブに所属している。である以上、「調布の事情を知らなかった」などということにはなろうはずがない。飛行場が、協定を基盤に存続しているということに対する、自覚と責任を、しっかりと持たれたら如何かと、言わざるを得ない。 

   ランチ目的の飛行

 次に、調布に、ランチを食べに来たという、S氏。ブログに、調布飛行場に行くことになった経過が記されているので、少々長くなるが、引用しておく。

 「久しぶりに遊びに来たタブババとどこかに飛んでいこうと予定していたが、今日はガスト(本紙注:霧)の予報が出ていたので近場でお茶を濁すことにした。そこそこ「飛んだ」と言う気分が味わえる調布飛行場に行ってランチでもしようと言う事になり機体を準備したり調布のスポットを予約したり…」などという書き出しで、そこには、調布飛行場が市街地のど真ん中にある迷惑施設であり、飛行回数を1回でも2回でも削減しようと努力している場所だということへの意識は、微塵もない。

 さらに、着陸したあとのこととして、こう続けている。

 「タブパパの操縦で無事に調布飛行場に着陸。 

 管理事務所に行き、飛行場使用届けを出そうとしたら・・・ 
「クルーパスは?」 
「??このブラウザではこの画像を表示できない可能性があります。 」 
「もっていないの?」 
「もってませんが・・・」 
「もってないと中に入れないよ」 
「はぁ~?我々は飛んで来たんですが!」 
「おぉ~そうかい。それじゃ、ここに氏名と住所を書いてね。パスを発行するから」 

 ありゃりゃ・・・また、クルーパスを発行する様になっちゃいました。パスケースを買えとは言われないだけましですが、なんだかなぁ~  
「プロペラ・カフェにいくんでしょ?パスを見せれば入れるからね」 
「はい、ありがとうございますこのブラウザではこの画像を表示できない可能性があります。 」 
以前はパスを発行されてもエプロンからプロペラカフェに入れなかった(管理事務所により規制されていた)ので少しはマトモになったなぁ~(嬉)」と、こんな具合である。

 これが、仮に事実であったとすると、調布の空港管理事務所は、着陸許可を出すに際し、それが、「不要不急の飛行」であるかどうかのチェックを何もしていなかったばかりか、いいかげんなやり方で、飛行場への入場許可を与えていたことになる。

 30年前は、調布飛行場というのは、全くの無法地帯であった。だからこそ、これだけ真剣に、監視活動を続けているのである。それにしても、運輸省が管理していた頃の、デタラメな運用が、部分的ながらも、蘇ってきたかのような、この頃である。 

   遊覧飛行を告白!?

 さらに、遊覧飛行を告白した、GDO(ゴルフ・ダイジェスト・オンライン)である。「ゴルフ場に向かう移動手段を車から飛行機に代え、上空から地上の景色を眺めながら目的地を目指す――。ゴルファーなら一度は体験したいと思う夢のゴルフスタイルではないだろうか?今回、4人乗りのチャーター機を手配しゴルフを愉しむ、ちょっと贅沢な「遊覧飛行&ゴルフ」を企画した。」などと語り、協定を無視した催しを披露した。

 話はさらに続く。「今回は日常では味わえないセスナ機での遊覧飛行ゴルフとあって、多少興奮気味だ。 
AM8:35。  
「そろそろ乗ってください!出発します!」 
待合室で待機していると、機長から出発の声がかかった。――チャーター機で飛ぶ、夢のゴルフ旅がいよいよ始まる。」

 最後に、「今回ご提案した遊覧飛行&ゴルフ。それはなにも特別なプランなどではない。必要なのはちょっとした予算と時間、そしてなによりも「ゴルフを楽しむ精神」があれば、誰でも簡単に実現できるのである。」などと勝手なことを述べ、「そんな夢のゴルフプランを実現できる、飛行機・ヘリのチャーターが可能な航空会社をいくつかご紹介したい。」と続けている。ただ、そこで紹介しているものの中には、調布の会社はなかった。 

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   市や都と会合

 このような事態を受け、我々はまず、昨年の12月 22日に、調布市と会合をもった。市の担当も、特に遊覧飛行には驚きを示し、都とも連絡をとりながら、事実関係の確認をしていくことを約束した。

 その調査に進展があったということで、今年の2月9日に、調布飛行場管理事務所に於いて、東京都と会合をもった。

 まず、D氏の件であるが、O飛行学校によれば、卒業生の1人が、ホームページに勝手に書き込んだとのことであったという。この部分は、すでに削除済みとの説明も受けた。

 次に、S氏の件であるが、残念ながら、都は、相手の本名も分かっておらず、十分な調査ができていない状態であった。そこで、情報を提供するとともに、常習性が高いので、厳しく当たるように申し入れておいた。

 一方、GDOの遊覧飛行であるが、これは、まったくの作文とのことであった。実際に運航をした、東邦航空によると、写真撮影の仕事ということで、飛ばしただけで、ゴルフ場への着陸もしていないという。GDO側が、あとで、その写真を利用して、体験談をデッチ上げたというのが、真相のようであった。

 この3件に共通なのは、1つは、飛行場が、周辺住民に大きな負担を強いていることへの、意識の希薄さであり、もう1つは、放っておけば、提案や物語が現実化していくなどの、エスカレーションの危険を秘めているということである。

 監視活動の必要性を、より一層感じさせられる、この頃である。