それにしても、とんでもないことである。
調布飛行場を、物理的にも機能的にも拡
大させようとする動きが、はっきりと現れて
きた。猪瀬発言と読売報道である。
猪瀬発言とは、まずは、4月1日に、調
布飛行場を訪れた際に、記者に行った発
言である。「ビジネス使用すれば、新潟や
4月 26 日に、西部地域センターで
市長のふれあいトーキングが開かれ
ました。
当会代表の村田さんが、猪瀬副知
事の発言について、「次々に約束した
条件を変更しようとしている。さら
に拡張されるのは耐えられない」と
質問しました。
長友市長は、「調布市ではすぐに東
京都港湾局に問い合わせたが、『副知
事の発言は個人的見解と思われる。
事前の打ち合わせなど一切なく、都
の方針ではない』との回答だった」
ということでした。
なお、市長は、管制官の撤退につ
いては、「代替措置で万全を期してい
る」と、また、計器飛行の問題は、
「個人としては、検討してみる必要
はあると思う。別に、やるというこ
とではないが」と答弁しました。
管制官の代替措置といいますが、
それは、警察官の交通整理とみどり
のおばさんの旗振りくらい違いま
す。法的権限が、全く違いますので、
緊急時やルール無視パイロットの取
締りなどには不安があります。
市長の答弁から、さらに不安が増
えました。
5月7日に、港湾局と話し合いを持
った。当会側は、世話人6名、港湾局
側は石田課長など3氏。立会人には小
竹都議。
猪瀬副知事の暴言は、地元市民の神
経を逆なでし、27 項目の飛行場受け入
れ条件や、協定・覚書に対する明白な
違反、担当知事をさしおいての放言で
ある。発言を撤回してほしいと、要請
した。
計器飛行導入については、現在、
進展していないとの話であった。1
便あたりの平均利用者も、年平均6
人と少ない。調布市民に多大な犠牲
を払わせてまで、存続、拡大の必要
性を感じない空港だ。この点を考慮
し対処してほしい等、地元の具体的
状況を示し説明、次回に回答をと要
求した。港湾局側は、はかばかしい
返答はなく、責任回避に終始した。
韓国にも行ける。今どき、ジェットがダメな
どはない。滑走路を 1200mに延ばせば、
56 人乗りの………」などと述べている。さ
らに、4月9日には、自身のブログで「例え
ば、ボンバルディア Q300 という機体は 56
人乗り。この大きさの飛行機を導入して、
新潟や松本、福島、あるいは名古屋や大
阪に飛ばすのはどうだろう。」などと記して
いる。
一方、読売新聞は、5月 13 日に、「世界
的に利用が広がるビジネスジェットの日本
での普及を促すため、国土交通省は、発
着手続きの緩和や、首都圏の空港に専用
ターミナルを設ける検討を始めた。2008
年度中に具体化に向けた調査を始める。
……… 新たな空港用地を確保するのは
困難なため、米軍横田基地(東京都)の共
用化や、調布飛行場(同)、桶川飛行場
(埼玉県)の利用などを視野に入れてい
る。」などと報道している。(写真は裏面)
5年前に、東京都港湾局内で、一部の職
員によって、飛行場拡大計画が画策され
たことがあった。幸い、都議会などでも問
題となり、そういうことはやらないことにな
ったはずであった。しかし、ここにきて、そ
れとほぼ同じ内容のものを、蒸し返そうと
いう動きが出てきたのである。誠にもって
腹立たしい限りである。
飛行場の管理運営に不可欠なものは、
単に、騒音、安全対策だけでなく、政治的
な安心感の提供も含まれているのだとい
うことを、関係者はしっかりと認識すべき
である。
【前回の要約】
調布飛行場に計器飛行を導入しようという計画がある。しかし、都営コミューター空
港になる際に、「計器飛行はやらない」というのが、都と地元3市の重要な約束事であ
り、覚書のトップ項目であった。なぜ重要事項なのか。
計器飛行とは
そもそも、計器飛行とは、何であろうか。航空機の飛行方式は、大きく2つに分ける
と、有視界飛行方式と計器飛行方式となる。
有視界飛行方式というのは、離陸から着陸まで、すべてパイロットの責任で行うやり
方で、車で言えば、自由に走れるマイカーに近いところがある。パイロットの目が頼り
であるから、天候が良いことが条件であり、日本では、視界が5km以上あることなど
が条件として定められている。
一方、計器飛行方式とは、離陸から着陸まで管制官の指示に従って行うやり方で、
車でいえば、いちいち会社に報告しながら走るタクシーに近いのかもしれない。離着陸
は、計器を使用して行うことができ、天候が良くなくても、飛ぶことができる。
しかし、現実には、かなりアバウトに運用されているようで、計器飛行で離陸した後
で、それを打ち切って、自由に飛行するということも、どうやら「あり」のようである。
計器飛行の何が問題なのか
さて、調布で問題となるのは、離着陸がどうなっていくのかということであるが、計器
飛行と一口に言っても、その計器の種類によって、千差万別である。現在、調布で狙
われていると言われているのが、MSAS(「エムサス」と読む人が多い)というもので、
人工衛星を使って、機体の位置情報を伝えるというのが基本となっている。車で言う
と、カーナビに通じるものがあると言われている。
ただ、計器飛行がいくら千差万別とは言っても、その目的は、「悪天候でも飛ばせる
ようにすること」ということに尽きる。これから、計器飛行の問題点を、いろいろな観点
から述べていくが、その根幹は、突き詰めて言えば「悪天候でも飛ぶようになることか
ら、騒音が増え、危険性が増す」ということである。そして、それは、後述するように、
「少々」というレベルに留まるとは、到底考えられないのである。
第 102 号