前号でもお知らせしたとおり、読売新
聞は5月 13 日に、国交省がビジネスジ
ェットの普及策を検討しはじめ、その基
地として、調布飛行場も視野に入れてい
る旨の報道をしました。その後、6月5
日に、日経が、調布の名前こそ出さなか
ったものの、同様の報道をしました。
国交省が、ビジネスジェット機の
普及促進のために専用ターミナル
(飛行場)を検討…そこで調布飛行場
も検討されているという新聞報道が
あり、事実を確認するために、7月
28 日、猛暑の中を『飛行場問題を考
える市民の会』の皆さんと一緒に、
国交省に行きました。
日本共産党の笠井亮衆議院議員を
通じて、国交省の役人から話を聞く
機会を設けてもらったのです。新聞
報道によると、世界的に利用が広が
るビジネスジェットの日本での普及
を促すため、国交省は、発着手続き
の緩和や、首都圏の空港に専用ター
ミナルを設ける検討を始めたとのこ
と。新たな空港用地を確保するのは
困難なため、米軍横田基地(東京と)
の共用化や、調布飛行場(同)桶川飛
行場(埼玉県)の利用などを視野に入
れている…というのです。
国交省の説明では、「普及促進」の
必要性も含めて、これから調査をお
こなう段階であり、具体的なことは
何も決まっていないとのこと。まし
て、小型とはいえジェット機の離発
着のためには、1500∼1800mの滑走
路が必要であり、800mの調布飛行場
では困難…「絶対」とは言えないが、
可能性は低いとのことでした。
まずは、ひと安心ですが、今後と
も飛行場拡大の動きには注意して、
しっかりと対応していきたいと思い
ます。
調布市長に懇談申し入れたが、市長
は多忙で日時の調整ができず、5月 16
日に、代わりに政策企画課と懇談しま
した。
市長が、ふれあいミーティングで村
田さんの質問に対して、「管制官が撤
退しても、代替措置で一年間無事故だ
った。問題はない」という発言に、住
民としては、法的根拠のない交通整理
で、緊急時の対応と無法パイロットの
取締りなどに対応できないとい
う不安があることを訴えました。
計器飛行の導入についても、市長
は、きっぱりと反対の態度を示せま
せん。雨の日も飛行する危険があ
り、さらに、夜間まで延長される危
険があります。住民の安全を最優先
に決断してほしいと要望しました。
市長に伝えますということで懇談
は終わりました。
4月には、東京都の猪瀬副知事が、調
布のジェット化に言及していることも
あり、当会では重要事態と受け止め、7
月 28 日に、国交省の担当役人と会い、
真意をただしました。
国交省によると、その件については、
5月 30 日に、報道発表を行ったという
ことでした。それは、「『ビジネスジェ
ットの利用促進調査』の概要について」
というもので、その中には、「首都圏に
おける専用空港の検討」という項目もあ
りました。ただし、調布に関する言及は
ありませんでした。調布の場合、滑走路
の延長が必要となるが、それが困難だと
の説明でした。
この文書については、日刊航空が6月
3日に報じていますが、やはり、同様に
調布は困難だと記しています。ただし、
前記の4月の猪瀬発言では、滑走路の延
長にも触れていることもあり、油断は禁
物です。
「首都圏における専用空港の検討」が
開始されたという事実を、看過すること
は絶対にできません
【前回までの要約】
調布飛行場に計器飛行を導入という計画があるが、しかし、「計器飛行
はやらない」というのが、都営空港化の際の、都と地元3市の重要な合意
であった。なぜならば、計器飛行には多種多様なものがあるが、その目的
は、「悪天候でも飛ばせるようにすること」に尽きるからである。
激増する飛行回数
計器飛行を導入すると、本当に、飛行回数は激増するか。ここでは、逆
説的であるが、「あまり増加しない」というウソの説をもとに考えていく
ことにする。
ウソの説とは
「計器飛行を導入しても飛行回数はあまり増加しない」というウソの説
とは、次のようなものである。「計器飛行は離島便に限定される上、調布
飛行場では年間離着陸回数の上限が定められているので、増加したとして
も、たいしたことにはならない」と。
この説の主なウソとは、「離島便に限定される」という点と、「年間離着
陸回数が守られる」としている点であるが、それは、後述していくことに
する。まずは、このウソの説によると、飛行回数はどうなっていくという
のかを見てみることとする。
調布飛行場の飛行回数などは、年によって、かなり、ばらつきがあるが、きわめ
て単純化して言えば、年間離着陸回数は 20000 回、そのうち離島便は 7500 回、
それ以外は 12500 回、そして、離島便の就航率は 75%である。計器飛行で、仮
に就航率が 100%になったとしても、離島便は、7500×
=10000 回、それ
以外は 12500 回のままであるから、合わせて 22500 回と、年間離着陸回数の上限
23000 回の範囲内に収まるはずだというのであろう。
こんなペテンの説に引っかかってはならない。これは、とんでもないウソなの
である。(続く)
第 103 号