去る8月 26 日、調布飛行場対策協議
会が開かれ、東京都からあった提案を、
すべて了承した。その中には、飛行場ま
つりの体験飛行の1.5倍化や、ドクタ
ーヘリの導入など、毎日の騒音被害を受
けている立場からは、到底看過すること
のできないような内容も含まれている。
了承するに当たり、周辺住民に配慮す
るような発言は、当会会員であるM委員
以外からは、ほとんどなく、この協議会
のあり方そのものが、問われる内容であ
った。さらに言えば、現在、この協議会
の結論が、事実上、調布市の飛行場政策
となっているが、市議会の特別委員会の
権限強化等の抜本対策が必要なのかも
知れない。
体験飛行の増加
体験飛行は、昨年 14 回であったのに
対して、今年は、なんと 21 回である。
調布市の説明によると、調布、府中、三
鷹3市の地元枠を設けたことから、増加
したという。しかし、それでは本末転倒
である。そもそも、なぜ地元枠を設けた
のか。
地元枠を設けるきっかけとなったの
は、大須賀市議の粘り強い働きかけであ
る。3年前の、平成 17 年8月 26 日の、
調布市議会調布飛行場等対策特別委員
会(以下、特別委員会)において、次の
ように発言している。
「体験飛行なんですけども、対象者、
来場者の中から抽選で搭乗者を決定す
るとありますよね。そうすると、飛行場
まつりに来たどこの市民であろうが乗
せるということになるかと思うんです
が、私はそれは制限を加えてもらいたい
と思います。まず第1の制限は、当然地
元3市に居住する者。それから、第2と
しては、私、できるだけ子供たちを乗せ
てあげたいんです。実際に去年の実績で
子供たちがどのくらいいるかわからな
いんですけども、単純な話、飛行機が大
好きな大人よりも、子供たちを乗せたい
ということです。それが聞き入れられる
かどうかはちょっとわかりませんけれ
ども、一応検討に加えていただきたいと
いうことで伝えていただけるとありが
たいと思っています。
1点目についてはぜひ強く希望しま
す。当然、地元の関係で飛行場まつりは
やるわけですから、全然関係ない、ただ
の飛行機好きの人が乗りたいと言って
頑張ってもらったって、はっきり言っ
て、私は嫌です。当然地元3市の方に限
定していただきたいと思っています。」
さらに、1ヶ月後の9月 29 日の特別
委員会では、大須賀市議は、「前回の特
別委員会のときに、体験飛行について参
加者を限定できないかという質問をし
ました。限定の内容は、調布、三鷹、府
中の3市民に限ると。それ以外の市民
は、飛行場の迷惑とは関係ないわけです
から、たまたまこの日に来て飛行機が好
きだから乗るなんていうことは、地元の
市民として不愉快きわまりないという
理由で限定していただきたいという話
をしたんですが、その検討結果はいかが
だったでしょうか。」と述べている。
このように、地元枠というのは、そも
そも、日常迷惑を被っている市民への、
還元という意味合いで、設けられたもの
なのである。さらに言えば、飛行場まつ
りそれ自体も、当初は、普段迷惑をかけ
ている周辺住民への、せめてもの恩返し
という趣旨で始まったものであり、「ま
つり」の時間帯は、離島便も含めて、す
べての飛行は禁止されていたものであ
る。
それが、2002 年から、「航空への理解
を深める」などという、とんでもない目
標を掲げて、体験飛行を実施するなど、
反・被害住民のイベントと化していった
のである。(うら面へ続く)
【前回までの要約】
調布飛行場に計器飛行を導入という計画があるが、「計器飛行はやらない」と
いうのが、都営空港化の際の、都と地元3市の重要な合意であった。なぜならば、
計器飛行の目的は、「悪天候でも飛ばす」ということに尽きるからである。とこ
ろが、最近、「計器飛行が導入されても、たいした変化はない」という、ウソの
説が流されている。
「離島便に限る」というウソ
計器飛行を導入しても、「離島便にしか認めないから、騒音は大丈夫」
という話がある。本当に、離島便にしか認めないのだろうか。そんな保証
は、どこにもない。それどころか、近年の計器飛行に関する動きを見ると
き、それは事実に反すると言わざるを得ない。
ドクターヘリ問題
例えば、別項で報じているように、今年の8月 26 日に、調布飛行場対
策協議会は、ドクターヘリ用の大型ヘリの、新規導入を認めてしまった。
では、このドクターヘリの場合は、どうなるのであろうか。
そもそも、この計器飛行問題が浮上した背景には、後日記していくよう
に、離島からの、都議会への請願書があった。その中には、現在の離島便
は、緊急患者輸送にも使われているので、計器飛行を認めてほしい旨の記
述があった。
実際のところ、現在、離島で緊急患者が発生すると、ヘリコプターで、広尾の
都立中央病院に搬送している。調布の離島便では、それ相当の検査の必要がある
人が、都心の病院に通院する上で、利用しているようで、緊急患者を搬送するこ
とは、現実的にない模様である。かつて、緊急患者を搬送したという話のあった
際に、病名や病院名を追及したところ、東京都は回答できなったが、そういうこ
とのようである。ただ、ここで大切なことは、緊急患者輸送という話が、計器飛
行という話につながっていったという事実である。これだけは、頭に入れておく
必要があろう。従って、一旦、計器飛行が認められてしまえば、それをドクター
ヘリにもという話に進んでいってしまう危険性は、きわめて高いと言わねばなら
ない。
そして、実のところ、問題はそれにとどまらないのである。(続く)
第 104 号