飛行場の安全と住民の生活の安心のために |
発 行
飛行場問題を考える市民の会事務局
0424-85-6389
松下
亘男 |
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2009年
8月号 |
飛行場管理事務所で、新所長と協議!
去る5月27日に、当会は、調布飛行場管理事務所に於いて、坂井新所長以下、東京都の担当職員と会合をもち、昨年9月のオーバーラン事故の調査続報などについて、語り合った。事故に関しては、国の運輸安全委員会の報告が、まだ発表になっていないとのことで、最終結論は得られなかったが、しかし、事故を風化させないという、飛行場周辺住民の意志を示したという点では、価値のあることであった。
誘導路改修何のため
一方、この日、誘導路を改修する工事が、まもなく始まるという話があった。単なる補修工事かと、問題にしなかったが、その後、8月30日の防災訓練のときに、重量制限を大幅に超えるヘリコプターを使用するという話が出てきた。(裏面参照)
制限オーバーの機体を使用することそれ自体、大変に問題であるが、仮に、この工事と防災訓練に関連があったとすると、地元の了解が得られる前の段階で、了承を前提に、工事を先行着手したことになり、これまた問題である。
この点については、今後とも調査をしていく予定である。
こんなに不便な飛行場!
鵜澤希伊子
昨年9月の「オーバーラン事故」の結果が、未だに知らされないので、5月27日、管理事務所に世話人が7人、参集した。
筆者は、長年調布に住み、飛行場問題に関わってきたのに、ここに行くのは初めて。京王バスの停留所は、よく目にしていたので、そこから直ぐだと思っていた。ところが、歩けども歩けども………。こんなに不便
重量制限オーバーのヘリの使用を認める!
去る6月22日、調布飛行場対策協議会が開かれたが、ここで何と、重量制限の1.7倍もある、超大型ヘリの使用を認めてしまった。
問題のヘリは、ユーロコプター式EC225LP型。最大離陸重量は、11t。調布飛行場では、「換算単車輪加重」という形式で、重量制限が2.9tと定められているが、この機体の重量を、その形式に変換すると、4.95t。
騒音も非常に大きく、進入時には、98.9db(デシベル)もあるという。デシベルというのは、いわゆる対数で表示されており、数字が10増えると、音の大きさは、10倍ということになる。数字が3増えると、音の大きさが、約2倍になると考えてもよい。調布にある飛行機は、騒音が、75db前後のものが多いが、今回のヘリは、単純に考えれば、その200倍程度ということになる。
このヘリは、8月30日の防災訓練での、1回の使用のみとのことだが、1度認めてしまうと、あとはフリーパスになってしまうというのが、調布のルール。とんだ軽率な判断をしてくれたものである。
当日に資料を配布
特に問題なのは、これだけ重要な内容の討議があるにも関わらず、その資料を、当日になって配布したことである。これでは、質問するにも提案するにも、事前の準備が何もできないではないか。意識も自覚も持たない委員ならともかく、きちんと討論しようと思っている、まともな委員であれば、これでは、到底やってられないであろう。
実際、当日の会議で、この問題の核心に触れるような議論は、結局、皆無であった。こういう条件の下で、まっとうな議論などできようか。
何のための制限か
さらに、けしからないのは、調布市の説明である。重量制限をオーバーしているが、そのことについて、「都営航空条例では、『知事の許可を受けた場合』は、『空港施設がその航空機の安全な離着陸に耐えうるかどうかを確認』した上で、許可できると規定されています」などと、何も問題がないかのような発言をしている。
そうではないだろう。そもそも、なぜ調布飛行場に重量制限が設けられたのかと言えば、ここが、世界でもあまり例がない、住宅密集地の中の飛行場だということである。周辺住民の被害を最小限にとどめるために、重量制限を、わざわざ設けたはずである。「制限オーバーでも、物理的に可能ならば良い」ということでは、決してない。こんな協議会の議論によって、騒音を浴びせられることになるのは、たまったものではたまったものではない。
「防災」という考え方それ自体は、とても大切なことであろう。災難を防ぐということだからである。しかし、飛行場周辺住民にとっては、騒音そのものが、大変な災難なのである。そういうことを考えない立場で、いくら防災訓練を重ねても、いざというときに、本当の意味で住民のためになる、救難活動などにはつながらないであろう。
防災訓練も、重量制限を設けた、本来の趣旨を忘れずに、やってもらいたいものである。
出席委員の報告
6月22日に開かれた協議会で、防災訓練に重量制限を大幅に超えるヘリコプターが来ることが提案され、承認されました。その前の月に、調布飛行場の所長から聞いていた、誘導路の補修工事についても、説明がありました。防災訓練と誘導路工事は、どちらが先かと質問しましたが、市からは「聞いていないので問い合わせてみます」という返事でした。
重量制限オーバーについては、テストと調査を事前に行う(ので大丈夫)とのことでしたが、どうでしょう。専門委員からは、普通の飛行機とヘリとでは、別の着陸の基準が必要ではないかという意見もありました。
離島の方で、調布との定期便の計器飛行が実施されたとの報告がありましたので、何回行われたのかと質問したところ、新島と神津島で1回ずつとのことでした。前月に飛行場の所長から聞いた数字と同じで、何ら変化がないことが分かりました。
(協議会には)毎回参加していますが、当日に資料を配布されて、事前に調査したり、質問を用意したりできないのが残念です。さらに、(現在、各自治会選出の)委員の選出も、公募という形で、公正と透明性(の確保)を希望したいと思いました。
石田課長が交代
東京都で、調布飛行場を担当してきた、港湾局の石田課長が、6月30日付で異動となりました。国土交通省航空局出身で、都に出向という形でしたが、これで本省に戻る模様です。真面目に仕事をやるタイプに見えましたが、在任中は、猪瀬暴言やオーバーラン事故に遭遇し、損な役回りを強いられた感もありました。我々飛行場周辺住民とは、立場を異にしましたが、ともかくも、お疲れ様でした。
後任は、阿南課長。同じく国土交通省航空局出身。人物像等については、追ってお知らせしていきます。
おかげさまをもちまして、当会も、発足20周年を迎えることができました。最初の集会が、1989年8月6日。大変な雷雨の中、今はなき「調布市市民センター」に、40名近い人が集まったと記憶しております。
当時、調布飛行場は、将来的には廃止と決まっていたはずでしたが、その中で東京都が、突如として、その存続を、「六者協」と呼ばれていた、地元の協議機関に提案してきたわけですから、その衝撃には大変なものがありました。怒れる多くの市民が結集し、会員は一気に500名ほどに膨らんだものでした。
調布市が飛行場の存続を認めてしまった現在、積極的に活動する人は限られておりますが、月1回の世話人会や、年平均4回程度の、東京都や調布市との対外交渉など、地道な活動を続けております。
飛行場の廃止や管制官撤退の阻止など、できなかったこともいろいろございましたが、飛行場拡大計画を暴露するなど、一定の役割を果たせたのかなと、自負しております。
今後とも、生活環境のためにがんばってまいりますので、ご支援のほどを宜しくお願い申し上げます。